徒然もの書きぱん

適当にアニメとかについて書いてます。今期は何について書きましょうか。

アイカツ同人誌紹介No.11『シリウス』


作品概要

タイトル シリウス
著者 あさぎり
Twitter アイカツ!の再放送を見てください (@asagiri_aikatsu) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル
ページ数 32
通販 シリウス(うたたねバイオレット)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、スターライトクイーンカップを終えたあとの氷上スミレが、『いばらの女王の氷上スミレ』から脱却しようとする話である。スミレが歌う目的を見つめ直し、新しい自分を探す。その一歩を描ききる一冊である。

感想(ネタバレあり)

 タイトルの付け方も、そのつけたタイトルに見合う話の展開も、その話の展開を最高潮に持っていく見開きのカラー印刷も、どれもが素晴らしかったです。
 本作でも世間からは『いばらの女王としての氷上スミレ』というイメージが強いというニュアンスで描かれていましたが、自分のスミレちゃんの印象もいばらの女王で止まっていました。その状態をこの一冊が完璧に打破してくれて、自分の中のスミレちゃんが新しい一歩を踏み出すことができました。
 『きらめきはアクエリアス』で自分を見つめ直すことができたあおいが、同じように自分というものに悩むスミレの悩みを解決するというのは展開としても筋が通っていて素晴らしかったです。アイドルと星の輝き方について言及し、それぞれの輝き方の違いと自分を見つめ直すというあおいのアドバイスの仕方も非常に綺麗でした。ここで一番光り輝く星の名前を忘れるのがあおいらしくもあり、演出のタメにもなっていて二重の役割を担っていてすごかったです。
 あとスミレのために新しく作られたドレスのデザインがすごくかわいくて、スミレらしかったです。読みながら「うぉーーーーすげぇーーー」と変な声が出ました。魔夜さんが乗り移って作られたかのような完璧なロリゴシックのプレミアムレアドレスでした。スミレちゃんの新しいドレス姿が見れて本当に嬉しかったです。
 最後のページの「私の大好きな歌が私が私のために輝くことがきっと誰かの道標になる。冬の夜空で蒼白く輝く星、あのシリウスのように」というセリフが、スミレの新しい一歩が、そしてこれからも続いていくスミレのアイカツにとっての道になったんだと思いました。最高の氷上スミレの明日を描いてくださった一冊でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.10『月と導火線』


作品概要

タイトル 月と導火線
著者 しまみず
Twitter しまみず (@mamizu_tn) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル
ページ数 60
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、ピュアパレットとリフレクトムーンの双方ともに解散し、湊みおと白百合さくやがユニットを組む。双方のユニットがなぜ解散したのかを、あいねがかぐやに、みおがさくやに告白することで昇華しながら、4人がそれぞれの道を進んでいく。その第一歩となる物語である。

感想(ネタバレあり)

 本作は、ピュアパレットとリフレクトムーンが交わるという話としても興味深かったですが、それ以上に各ユニットが解散した理由をそれぞれ告白していく展開の構成がうまかったです。あいねと澪だけでは解決しない問題に、かぐやが交わることで解決できるという展開がすごく噛み合っていました。
 リフレクトムーンに関しては、さくやがアイドルになった理由、かぐやがアイドルになれなかった理由ともに重たく、双子という設定が非常に生きた話で楽しむことができました(創作かと思ったら実話だったというところが一番驚きましたが…)。ピュアパレットに関しては、みおの考えすぎてしまう性格が現れた結果なのだと思いますが、あいねはあいねで喫茶店を楽しそうに運営できていてよかったです。前を向いていこうとするあいねらしいと思いました。かぐやの手紙だけではなくかぐやの帽子によって、みおもさくやも救われる展開にかぐやの気遣いを感じました。

 しまみずさんが作られるお話は、人物の配置がうまくキャラクターの内面が引きずり出されるようになっているのが毎回すごいと感じています。今回の本でもそのすごさを感じることができて楽しめる一冊となりました。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.9『夕影ノスタルジア』


作品概要

タイトル 夕影ノスタルジア
著者 piyotori
Twitter piyotori (@piyotori) | Twitter
頒布 芸カ18(2018-02-24)
サンプル
ページ数 24
通販 夕影ノスタルジア(Hi-Fi Nostalgia)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は霧矢あおいをベースとしたフルカラーイラスト本である。霧矢あおいの過去から未来までを描きながら、あおいの独白によってその時のシチュエーションを振り返えっていく。グッピーのポスターを見てアイドルに憧れたあのときから、スターライト学園に入ってスターライトに入って成長していく過程を丁寧に描いていく一冊。
 

感想(ネタバレあり)

 本作は、イラスト本という枠を飛び越えており、想定した内容よりも数段上のセンチメンタルな本でした。あおいといちごの出会いやいちごがアメリカに行っていた間の話など、あの頃をを補完するような構成になっているのもありがたかったです。
 そしてフルカラーが映えるイラストばかりでイラスト本としてもとても楽しめました。本のタイトル通り夕方を切り取った鮮やかなものばかりでした。個人的にはいちごがアメリカに行ったタイミングのイラストにすごく惹かれました。振り返る姿にその上空を飛んでいる飛行機。いちごを思い出させるような素晴らしい演出だったと思います。
 最後の3ページのマンガもソレイユが成長した姿を見ることができ嬉しかったです。髪を切った蘭が美しすぎてめっちゃいいってなりました。最高でした。

 piyotoriさんのあおい愛があふれる一冊で楽しませていただきました。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.8『Dream to watch with you』


作品概要

タイトル Dream to watch with you
著者 いーた
Twitter いーた (@eeeeeta) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル -
ページ数 約200ページ(数えるの諦めました(_ _))
通販 Dream to watch with you(惰眠)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、芸カ9で頒布された『きらきら星の空模様』から芸カ16で頒布された『To make up one's mind』までの8作に、瀬名あかアンソロジーで寄稿されていた『初夏の油断』、描き下ろしを加えた計10作が収録されている。各作品ごとに当時を振り返るコメントが掲載されており、作者が瀬名あかと歩んできた3年間を感じることのできる一冊となっている。瀬名あかが好きな人には必ず手にとってもらいたい。
 描き下ろしでは、コスモス結成後の瀬名あかが描かれている。いちごの一言に翻弄される瀬名ととびっきりかわいいあかりを見ることができる一作となっている。 

感想というか自分の振り返り(ネタバレあり)

 再録本の感想をどこを切り取って伝えるかが難しいため、1作目『きらきら星の空模様』の感想といーたさんの本との思い出話を書かせてください。

 まず最初に、再録本の頒布おめでとうございます。
 初めて参加した芸カ10でいーたさんの本を初めてお見かけして、ノータイムで全て買ったのを今でも覚えています。いーたさんが描かれる瀬名あかは、瀬名がプロのデザイナーと青年としての心が共存していてあかりの純朴さとバランスが取れているのが非常に好きでした。絶対に両想いなのに、絶対に両想いにならない。そんな関係性が描かれている稀有な本でした。
 『きらきら星の空模様』は、瀬名のプロとしての対応とその対応の正しさにあかりが悩むという内容でした。あかりちゃんがくるしくて泣いているシーンと最後に笑っているシーンの起伏が本当に大好きで何度も読み返しました。この本は、誰も間違っていないけれども、正しさだけではこの二人が幸せになることはないという絶望も描いているようでした。アイドルとデザイナーは絶対に恋愛関係になってはならない。その壁をどう壊して、このふたりの幸せをもぎ取っていくのか。それがこの瀬名あかというジャンルの魅力なんだと気付かされました。いーたさんのこの1冊が、瀬名あかというジャンルにのめり込むきっかけになりました。
 あといーたさんが描くあかりちゃんは本当にかわいくて、自分のあかりちゃん像を確立してくれたと感じています。どの本でもどのあかりちゃんも可愛くて最高でした。
 余談ですが芸カ16で頒布された『To make up one's mind』では、マシュマロにながーい感想を投稿させていただきました。いーたさんが温めていた最高の瀬名あかをありがとうございました。

 最後に、今後ともいーたさんの創作活動が楽しいものになることをお祈りしております。たくさんの素晴らしい本たちをありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.7『はたちのアイドル』


作品概要

タイトル はたちのアイドル
著者 星バブルるみ
Twitter 星バブ【コ53-54】次はCYYR (@hoshi_bubble) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル www.pixiv.net
ページ数 40(遊び紙含む)
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、WMの成人式前後の様子を描いている。スターライト学園に通っていた美月と地元の学校に通っていたみくる。ふたりが歩んできた道のりは全く異なるのだが、ふたりが過ごしてきた時間の濃さに圧倒されていつの間にか忘れてしまっていた。それぞれが学校で過ごした時間を感じさせつつも、美月とみくるのふたりで、そして月影さんも加えた三人での時間を濃密に体験させてくれる一冊。

感想(ネタバレあり)

 本作を読んで最初に感じたことは、アイカツのキャラクターも成人していくということでした。アニメで描かれる時間が終わったとはいえキャラクターたちの時間は私達と同じように流れている。それをどうイメージするかが、彼女たちの成長を私達が感じられるかだと思いました。本作の感想とは少し関係ありませんが、読んでいる最中もそのことが頭から離れませんでした。

 本作で描かれた美月とみくるは相変わらずの中の良さでしたし、脇役に徹しようする月影さんを半ば強引に輪の中に加えるみくるも相まって三人での時間が心地よかったです。それぞれが覚醒時代を過ごした仲間が大切なのは当然ですが、それを振り返るように三人で過ごしている時間はそれ以上に貴重なものなのだと思いました。
 そして最も印象的だったのは、美月の「二十歳になれると思ってなかった」というセリフでした。マスカードという憧れの存在に近づくことが美月にとってのアイカツのスタートラインで、その輝きを目指して頑張ってきた。目指す何かがありつづけるということは、永遠に子どもでい続けられるということなのかもしれないと思いました。自分になりたい自分を目指すということが、美月の言う大人なのかもしれないと解釈しました。美月にとっては一緒に何かをしてくれる人たちとアイカツをすることが、美月にとってのなりたい自分なのかもしれません。

 以前からバブルるみさんの描く美月、みくる、月影さんの関係性は非常に好きでしたが、本作は飛び抜けて好きな一作になりました。素晴らしい一冊をありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.6『月が踊る夜は輝く』


作品概要

タイトル 月が踊る夜は輝く
著者 すやま
Twitter https://twitter.com/itsudemoneteru
頒布 芸カ18(2018-02-24)
サンプル https://twitter.com/itsudemoneteru/status/1092779526122221568
ページ数 62(遊び紙含む)
通販 https://lalalasoumatou.booth.pm/items/1242855

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、8つの物語がオムニバス形式で進行し、神崎美月を軸としてキャラクターの関係性を描いている。本作を言葉にするのは非常に難しいが、神崎美月という偶像に向き合うそれぞれのアイドルが、その偶像を正視していく。そのキャラクターが見ていた美月を、美月の言葉によって新しい美月として捉え直していく。私たち視聴者にとってはひとつひとつが神崎美月であるのに対し、アイドルたちにとっては新しい神崎美月として映し出される。そのギャップこそが本作一番の魅力かもしれない。

感想(ネタバレあり)

 まず最初に。私にとって本作は、芸カで頒布された数ある同人誌の中で最も素晴らしい作品でした。
 「神崎美月だからすごくて当たり前」というアイカツ世界における価値観の中で、その当たり前を真に理解している者たちの話だと理解しています。その中でもスターライトクイーン会とあかりは、美月にとってアイドルとしての一面を限りなくゼロに近づけて接することができるのだと思いました。スターライトクイーン会は、スターライトクイーンたちが集まってただ遊ぶだけの会で彼女たち自身がトップであるがゆえに相対的になアイドルとしての距離が近いからかも知れません。あかりは、出会い自体が美月のアイドル性から遠く離れた場所を経由して出会っているため、アイドルと言うよりも先輩のお姉さんに近いからなのかもしれません。
 それ以外のアイドルたちにとって美月は、神崎美月に近づいたことで神崎美月が遠くなったのかもしれません。ヒカリは、総再生回数で美月を抜いたことで。ユリカは、トライスターを解散したことで。あおいは、美月の軌跡を直視することで。いちごは、美月に求められた自分になれないこと気づいたことで。
 美月という人間の魅力とは、美月という人間が等身大の女の子である部分なのだと思いました。アイドルたちが見ている美月は完璧なアイドルなのに、美月と話すと女の子である一面が垣間見える。そしてその一面が少し意地悪で、少しかわいい。それが美月の魅力なんだと思いました。

 マスカレードを追いかけていた美月を、追いかけるアイドルたち。その追いかけ方も様々で、寄り添い方も様々で。たくさんの接し方に囲まれる美月を見ることができる素晴らしい本でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.5『おやすみデイジー』


作品概要

タイトル おやすみデイジー
著者 るか
Twitter るか (@ruka_indomade) | Twitter
頒布 芸カ18(2018-02-24)
サンプル
ページ数 24
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は、役者神谷しおんとぽわぷりの関わりについて言及した一作となっている。本編からも神谷しおんの役作りの徹底ぶりは周知の事実ではあるが、役作りを行ったあとのしおんについて言及されることはなかった。シリアスな役を演じきるしおんと、それを影で支えるぽわプリのおとめとさくら。これまで見ることのなかった三者の関係性がぎっしりと詰まった一冊である。

感想(ネタバレあり)

 まず本編で扱われている内容の延長線上であるとはいえ、しおんの内面にまで踏み込まれた本作は非常に新鮮でした。どれだけ厳しい役にでもなりきれるしおんだとは思いますが、ではそれを演じたしおんの負荷は図りしれずそれを知っているのもほんの一部のメンバーなのだろうと思いました。それがぽわぷりのおとめとさくらなのだと思いました。好きで続けている仕事でも、必ず辛いことがあるのだと思います。その向き合い方にぽわプリとしての優しさが溢れていました。
 本編での暗く重たい雰囲気からの、ぽわプリのゆるい空気感でしおんと同じように心がほぐされていくようでした。しおんがぽわプリという素敵なユニットに出会えたからこそ、仕事に幅も出て活躍できているのだと思いました。

 短編でのブレインサンダーを飲むことができなかったしおんに対するおとめのアクションとさくらのサポート。一周読み終えたあとのおやすみデイジーの見開き。ひとつひとつのお話と構成が、ぽわプリとしおんの今を紡いでいるようでした。素晴らしい本を、本当にありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.4『眠り姫にはなれないけれど』


作品概要

タイトル 眠り姫にはなれないけれど
著者 ねぎ
Twitter https://twitter.com/td_tt_a
頒布 芸カ18(2019/02/24)
サンプル https://twitter.com/td_tt_a/status/1095270331520937984
ページ数 28(遊び紙含む)
通販 https://booth.pm/ja/items/1242949

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は天羽まどかが、瀬名翼のドレスを初めて着た大空あかりを見るところから始まる。瀬名へのあこがれのような恋のような感情を抱えたまどかは、あかりに対して嫉妬のような感情を抱きつつも、あかりの成長を感じながら少しずつ評価を変えていく。
 瀬名にとっての「眠り姫」になれなかったまどかが、瀬名への憧れとあかりへの嫉妬を整理していく物語。

感想(ネタバレあり)

 ねぎさんの描くあかりちゃんがとても可愛くて、大空あかりの魅力のすべてを引き出せているんじゃないかといつも思います。そしてまどかの表情を活かすようなコマ割りになっており、とても心地の良い読書体験をさせていただきました。

 本作ではオデットスワンコーデ時のあかりを認識しており、そのあかりの実力をそれほど評価していないという点が非常に面白かったです。いつのまにかあかりの努力にばかりフォーカスを当てていて気づきませんでしたが、あの当時のあかりはまだプレミアムレアドレスを着たばかりでそれほど実力がなかったかもしれない。スペシャルアピールを決められるようになったばかりですし、外部の人からみたらそれほどすごいという評価にならないのかもしれないと新しい視点で見ることができました。もちろんまどかの感情が嫉妬ばかりであり、強がりのような気持ちでの発言もあったとは思います。
 そのまどかがあかりの成長を通して自分が選ばれなかったことを理解していく流れがとても美しかったです。名前の呼び方で気持ちに区切りをつけるのがとても好きでしたし、ルビでの演出も本音と嘘が両立していてたのもすっごく好きでした。ラストのあかりの光り輝く笑顔で、まどかと同様に見ているこちらも笑顔になりました。

 ねぎさんの描くスキップスの関わりは、特別ななにかが秘められているように魅力的です。素敵な一冊をありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.3『パパライチ』


作品概要

タイトル パパライチ
著者 みーと
Twitter みーと@芸カ18新刊通販あり (@mitomusee) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル https://twitter.com/mitomusee/status/1094799501900926976
ページ数 68
通販 パパライチ - ATELIER LB - BOOTH

本作紹介(ネタバレなし)

 本作はいちごやあおいが大人になり、あおいがスターライト学園を織姫学園長から引き継いだ後の世界。世間からアイドルブームは過ぎ去り、アイドルの活躍の場が失われた世界。そんな世界で鬱々とパパラッチとして活動するらいちが、初心を取り戻していく話である。
 いうなれば本作は、アイカツで絶対に描かれなかった現実世界とのクロスオーバーである。

感想(ネタバレあり)

 本作を読み終えた後の感想としては、今までにはなかったアイカツ同人誌だと思いました。多くのアイカツ同人誌で前提となっているのは、アイドルが必要とされる世界でアイドルが活躍することです。その前提を崩している点が本作の魅力であり、重たさの正体だと思いました。
 将来のらいちがマスコミに入ることは想像に難くない一方で、らいちがなぜパパラッチになってしまったのだろうかと思いました。らいちはアイドルの才能を嗅ぎ分ける能力があり、それはこれから活躍する新人を見つける力でもある。それを良い方向に使えばプロデューサーに、悪い方向に使えばパパラッチのように可能性を潰すことができる。らいちはあおいのプロデュースに失敗していると感じていて、その結果としてプロデュースの道を諦めしまったのでしょう。だから悪い方向に進んでしまったのだと感じました。らいちの苦悩と周囲の人間のらいちへの期待を感じ取ることができました。
 あとアイカツを盛り上げていた井津藻ディレクター、徳井アナウンサーの登場は非常に嬉しかったです。やっぱりこのふたりだよなーと思わされました。このふたりの熱い想いこそがアイカツですよね。

 本作はなぜを追求しながら読み進めることで深くまで入り込むことができました。なぜあおいは学園長になったのか、なぜらいちはパパラッチになったのか、なぜソレイユだったのか、なぜソレイユのステージは埋まったのか。そんなたくさんのなぜを、「〜だから」と説明できる良い隙があったと思います。
 世界を描きつつ、世界を描ききらない素晴らしい本でした。ありがとうございました。

アイカツ同人誌紹介No.2『見守る話 前編』


作品概要

タイトル 見守る話 前編
著者 梅まこ
Twitter マコ🦄 (@mako_oekakiU) | Twitter
頒布 芸カ18(2019-02-24)
サンプル なし
ページ数 20
通販 なし

本作紹介(ネタバレなし)

 本作は瀬名にひかれる大空あかりを支える天羽まどかという構図で話が進行していく。この作品でもっとも強調するべき点は、他作品とは異なる天羽まどかの立ち位置である。天羽まどかは、幼き頃から瀬名のことを認知しておりドレスにかける情熱も知っている。そこに瀬名に惹かれるという要素が追加される事が多いのだが、本作ではそのような描写はなく兄思いの妹のような立ち位置で天羽まどかが描かれている。
 兄のような瀬名翼、兄思いの天羽まどか、まどかの姉のような大空あかり。三者の関係性を見ることができる一冊になっている。

感想(ネタバレあり)

 まず第一に、瀬名のドレスづくりを応援するというまどかがすごく新鮮でした。上記でも述べましたが、まどかは一歩引いて瀬名とあかりを見る立ち位置で描かれることが多いので驚きました。ただそのようなまどかに違和感があるかというとそうではなく、まどかのまっすぐさがどのページにも反映されており、新しいまどかの一面を垣間見れて嬉しかったです。
 瀬名が初めて作ったプレミアムレアドレスの完成を誰よりも喜び、そこに並んで立つ大空あかりを応援している。そんなまどかには、瀬名を幸せにしてくれる大空あかりとして映っているようにも思えました。オデットスワンコーデができあがった瞬間のまどかがすごく可愛くて、あかりが着てくれることもすごく喜んでくれている。とても幸せな関係性だと思いました。

 まだ前編とのことですので、後編を非常に楽しみにしております。