アニメ『Just Because!』12話―――なぜ卒業式の日に告白できなかったのか

　こんにちは。

　今回は2017年秋アニメ『Just Because』の12話(最終話)の話の展開が少し引っかかったため少し掘り下げてみます。考察とまではいきませんが、ひとつの読み物として楽しんでもらえればと思います。

12話の展開で気になった部分～その1

　僕が話の展開の中で、卒業式の日に美緒に告白できなかった理由が非常に気になった。なぜ美緒に連絡しなかったのか。連絡が来ているのだから、それに返信するだけでよかった。なのにそれをしなかった。
　その理由について、以下2点を掘り下げる。

瑛太が走り出した理由
瑛太が美緒に告白できなかった理由

0．はじめに

　上記の疑問について触れる前に、瑛太と陽斗の勝負について考える。この勝負は1話とは逆の構図となっており、瑛太から美緒への告白をかけた勝負をしていると考えられる。そして重要なのは、ホームランが勝利条件とされている点である。

1．瑛太が走り出した理由

　瑛太がボールを打ったあと、陽斗が「いっけー！」と言い、瑛太が走り出した。ここでひとつ疑問だったのが、瑛太の打球はホームランだったのかという点についてである。
　先程も触れたが、この勝負は1話とは逆の構図になっている。1話で陽斗がバッター、瑛太がピッチャーだったのとは逆に、陽斗がピッチャーで瑛太がバッターになっている。そして陽斗が完璧なホームランを放ち悠々と立ち去っていったのに対し、瑛太の打球は飛行機雲に重なるように大きく飛んだような演出がなされ瑛太は走り出している。つまり瑛太が放った球はホームランではなかったと考えることができる。
　瑛太の放った球がスタンドインするホームランではないからこそ、瑛太は自分の足でランニングホームランにしようとしている。打球を飛行機雲に重ねているのは、打球がまだ地面についておらずホームランとしての可能性を残していることを表現しているのだと感じた。
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2．瑛太が美緒に告白できなかった理由

　結果として、卒業式の日に瑛太は告白することができなかった。瑛太が美緒に送った「ごめん。行くの遅れた」というメッセージを見る限り、瑛太は指定された場所には向かったが美緒はいなかった、と受け取ることができる。
　1．の内容を踏まえると、瑛太は美緒との約束に間に合うことも含めて願掛けをしており、事前に連絡することができなかった。だから消えていく飛行機雲に重ねるように、瑛太のランニングホームランが消滅した。瑛太が美緒との約束に間に合わなかった。
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12話の展開で気になった部分～その2

　そしてもう一点、大学で出会った二人の告白についてである。勝負に負けた瑛太は、なぜ自分から告白することができたのか。
　その理由について、美緒がつけた既読のタイミングについて掘り下げる。

美緒がつけた既読のタイミング

　卒業式の日、瑛太は最後までメッセージを未読のまま美緒に出会おうとし、そして美緒に出会えないままメッセージを既読にした。一方で美緒がつけた既読のタイミングを見るに、美緒は瑛太に出会ったあとにメッセージを既読にすることを選んでいる。つまり瑛太がやろうとしていたことを、美緒が代わりに実行した。瑛太がその意味に気づいたからこそ、願掛けが時間を跨いで叶い、そして告白することができたのだろう。
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最後に

　話の展開の中で気になった部分を、自分なりに理由をつけてみました。見返してみるとかなりこじつけのように感じてきましたが、ひとつの見方だと思ってもらえれば幸いです。
　1話の時点ではあまり合わないと感じたこの作品でしたが、改めて1話から見直すと非常に好みな仕上がりで自分でも驚いています。個人的に12話は瑛太と美緒以外のキャラクターたちが非常に特徴が出ていて好みでした。瑛太の返事を聞いた小宮の反応や、いつも小宮を気遣っていた写真部の男子2人。そして瑛太と美緒を見守る相馬・葉月ペア。本作が彩られていたのは周囲のキャラクターが素晴らしかったからだと改めて感じました。本作はアニメーションとしての演出で目を瞠る部分が多くあり、3ヶ月非常に楽しむことができました。

　最後に、またこういう作品に出会えることを願っています。