アニメ『さくら荘のペットな彼女』の感想 ～本気で頑張れるもの～

はじめに

　こんにちは。

　dアニメストアで過去作を見よう企画その3『さくら荘のペットな彼女』です。率直に言ってすごくいい作品でした。

さくら荘のペットな彼女とは

　ライトノベル原作の作品。巻数は10(+3)巻で、 既に完結しています。
　さくら荘と呼ばれる変人の集まる寮があり、不幸にもその寮で生活することになった空太を中心としたストーリーです。才能の集まるさくら荘での挑戦を主としています。

さくら荘のペットな彼女 文庫 全10巻完結セット (電撃文庫)

感想

　この作品ははっきり言って暴力的です。軽い気持ちで見ると、作品に殴られて心に傷を負います。その分だけとても考えさせられるとても良い作品です。

絶対的な才能と絶望的な差

　この作品はましろ、美咲という「絶対的な才能」を、空太、七海、仁との「絶望的な差」として描いています。自分の好きな通りに書いたりしたものが評価される天才に対し、他者からも認められる努力が成果に結びつかない凡才。天才に巻き込まれることによってどんどん傷ついていく自信とプライド。でも絶対的な才能だからこそ、そこに並びたいと思えるのかもしれないです。
　でも実際どうでしょうか。そうは思いつつ、全然追いつくことができない。ましてやどんどん離されていくことで抑えきれない嫉妬。空太とましろの関係がまさにその形だったと思います。それでも好きなものだから歩みを止めなかった。空太の心の弱さと葛藤と強さのすべてが描かれていたように思います。

「頑張っている」という言葉と責任

　この作品で頻繁に出てくる「頑張っている」という言葉。これは誰によって評価されるべき言葉なのでしょうか。自分でしょうか？他人でしょうか？
　もちろん実際には両方だと思います。自分は努力不足だと思っても他者から認められれば一定の評価を獲得できたことになります。一方で自分は満足していて他者から認められなくても、自分の中では腑に落ちた結果となります。
　この作品での「頑張っている」は前者になると思われます。しかし認めているのは身内であり、決して本当に認めてもらいたい人(企業)には認められない。だからこそ、頑張ったと評価する身内は最終結果までを見通して評価する責任があるのではないかと思います。「頑張った」と声をかけるということは、認められなかった時に努力を否定する言葉になります。それを自覚すべきだと感じました。それでも諦めることをしない強さに胸打たれるものがありました。

告白させないことによるもやもや

　ネタバレになりますが、七海は空太に告白しません。彼女が彼を思い続ける想いの理由もわかりますが、それを形にするところまで行きません。彼女を告白させないのは今後の妄想をふくらませるために必要なのかもしれません。それでも、本気でぶつかる彼女を見たいという気持ちはありました。
　僕は告白しないということはある意味報われないことを象徴しているように感じます。想いを伝えなければ今後はないし、作品の一つの未来を潰してしまっているような気がします。やはり七海の想いをひとつの結末として処理させて欲しいですね。ある意味一番報われないと思いました。とらドラもそうですが、告白させないというのはやはり可愛そうですね。

　ここまで書いておいてあれですが、原作では続きがあるんですね。なんとなくとらドラと同じように、アニメとラノベの同時完結だと思い込んでいました。七海が報われることを祈ります。

本気で頑張れるもの

　僕はそこまで頑張れる好きなものがないかもしれません。今まで書いてきたアニメの感想も、誰かを越えようと思って書いたものはなく、認めてもらえたら嬉しいなという気持ちで書いたものです。否定される覚悟も反論する元気もないものばかり。それでも否定されるということは傷つく。たとえなんとも思っていない相手だとしても傷つく。
　さくら荘の住人は否定されても挑戦し続ける。そんな彼らのように本気で向き合えるものを見つけたいという気持ちが強くなりました。

まとめ

　さくら荘のペットな彼女は本当に考えされました。僕は心が抉られて、自分を見つめ直すような作品が好きなのかもしれません。誰にでもある当たり前の感情をテーマにした作品が僕の好物なのかもしれません。良い発見でした。今後はこういう作品を中心に見ていきたいと思います。

以上です。それではまた別の記事でお会いしましょう。

さくら荘のペットな彼女 全8巻セット [マーケットプレイス Blu-rayセット]

TVアニメ「 さくら荘のペットな彼女 」エンディングテーマ「 DAYS of DASH 」

TVアニメ 「 さくら荘のペットな彼女 」 エンディングテーマ 「 Prime number ~ 君と出会える日 ~ 」