赤髪の白雪姫4話の感想と毒
はじめに
こんにちは。
今期唯一毎話感想を書いていた赤髪の白雪姫。長らく書いていませんでしたがやっと4話の感想を書きました。書いていなかった理由に関しては最後に述べたいと思います。それでは始めます。
始まりのモノローグ
歩み始めたこの道、どんな形、どんな色、どんな匂いだろう。昨日まで知らずにいたものを、今日知ることができれば。
感想
感想を書くその前に
今回のテーマは毒である。人にとっての毒。病気にとっての毒。自分にとっての毒。他人にとっての毒。どの対象に対しての毒なのか。それについて考えさせられる内容であった。
本番に臨む白雪
宮廷薬剤師を志した日から数日が経ち、その一歩となる見習いの試験の日がやってきた。緊張した様子で城を訪れるも、リュウとの会話では緊張した様子も見られない。薬学と触れ合っている時間こそが彼女にとって幸せなのであろう。
だからこそ薬学について詳しいリュウを尊敬の眼差しで見つめてしまうのだろう。そんな白雪のまっすぐした目にリュウが照れてしまうのも仕方がない。
試験開始
試験は薬草園の観察である。薬草の様子を観察するという難しい試験でありながらも、水路によって管理された薬草園に感動している。白雪の薬学に対する思いが伝わってくる。自分が試されている試験であると同時に、勉強するよい機会であると捉えているのだろう。辛そうな様子もなく楽しそうだ。
心配になって白雪の元を訪れるゼン
深夜に明かりのついた薬草園が気になり、ゼンは薬草園を訪れる。合格者を減らそうとする受験者の企みにより、白雪とゼンは同じ空間に閉じ込められるが、白雪は全く気にしていない様子。ゼンとの身分の違いには当然気づいていると思うが、一緒に閉じ込められた事実よりも何故ゼンがここを訪れたのかが重要なようだ。白雪とゼンとの距離感の近さが伝わってくる。
薬草の不調に気づく白雪
毒に対する意識の違い
花の深夜から朝に向けて咲くという特徴を知っていたため、花が下を向いていることから異変に気づく。
白:水路に毒が流れている。
ゼ:毒!? お前、それを飲んだのか!
白:だ、大丈夫。人には影響ない。
ゼ:そうなのか…。
水路に流れる水が甘く、花たちにとっては有害な毒であるが、人には無害である。ゼンにとって毒とは人にとっての毒であり、白雪にとって毒とは花にとっての毒である。ふたりが考えている毒には大きなギャップがあるからこそ、緊張感も大きく異なっている。
白雪の行動と気持ち
白:ゼン! ここから向こうまでの水路を閉じて。私は土から全部植え替える!
ゼ:俺が手を貸したら審査に響くかもしれないぞ。
白:うん。今できる一番必要なことをやるよ。
ゼ:お前の道が狭くはならないのか?
白:(この国でゼンの味方になれる道を行くと決めた。)見失わなければ大丈夫。(しるべがある。)前を向いていられる力は今までゼンにたくさんもらっているから。
まず、白雪は毒素を吸った土を交換しようとしている点について。ここで白雪の性格がとてもよく表れているに感じた。 白雪は知識を元にアケギシグレではなくユラシグレであると見抜く。しかし今は試験中であり、土を交換するという行動が試験に適した行動であるかの判断が必要となる。このような試験は、加点方式か減点方式のどちらかに分類されるため、大胆な行動は試験の結果を大幅に悪くする可能性がある。それにもかかわらず、白雪は全ての花の土を交換するという行動を取る。つまり、試験の結果を気にして土を変えたのではなく、花の状態を気にして土を変えたのである。この2つの行動は見た目は同じだが本質が大きく異なる。白雪の薬学への思いが伝わってきた。
次に白雪のセリフについて。白雪が心の中の言葉は自分が進む理由、迷わず進める理由である。またゼンへの発言は心のうちにある理由に対する感謝であり自信であるように思えた。自分の中で理由を見つめ、その理由を感謝として伝えたのであると思う。ゼンの心配とそれを打ち消すような白雪の自信。互いの思いをつなぐように交わした拳に信頼が込められていた。
薬室長への白雪の行動
ゼンはこの国のみんなにとって王子である。そんな王子が関わる話に対して、
いつか王子を助けるかもしれない、大事な薬草たちですので。
と言い放つ白雪。ハルカ侯がいろいろと言いたかった気持ちもわかる。白雪とゼンの距離感だからこそ言えるセリフだと思うが、それを危惧しての薬室長の注意であったのだと思う。しかしそのような関係を間近で見て、笑いが溢れてしまう気持ちもわかる。
またゼンの薬歴が室長の声で読み上げられているところから察するに、室長はゼンを子供の時からずっと見てきているのではないかと思う。ミツヒデと木々以外に生まれた新しい白雪という関係。それが微笑ましかったのかもしれない。
合格者はたったの2人
冒頭の映像には20人もの受験者が映っており、その中から2人が合格した。合格率は10%ほどなので、かなり難関な試験であることがわかる。
そのような難しい見習いの試験に合格し、最年少で正規の宮廷薬剤師になったリュウの実力が相当なものであることがわかる。
良い毒と悪い毒
ゼンとの会話でも出てきたが、植物の持つ毒素が病気に対して効果を持つ場合がある。そのため一概に毒といっても有害であるとは限らない。リュウの噂は薬学という学問への否定であり、リュウへの侮辱である。それが許せなかったから白雪は怒りという明確な意志を示したのである。噂でリュウが貶められるようであれば、リュウがどれだけがんばって薬を作ったとしても、その薬が彼の手から直接患者のもとに届くことはない。その噂はリュウにとって毒でしかない。
リュウとゼンの関係
子供であるリュウを気にかけ、ゼンはアドバイスをしている。白雪は正面から向きあえば答えてくれる。ハルカ候との一件を踏まえ、このように考えているのだろう。
ゼンの薬歴について
覚悟のために
室長が白雪に求めた覚悟とは、ゼンが一国の中枢を担う王子である責任と払った対価を知っておくことであると思う。
白雪が流した涙
白雪は毒薬投与の記録を読み涙を流す。白雪が涙を流したのは今回が初めてであり、それだけこの記録は白雪の心を揺さぶったのである。白雪が涙を流した理由は2つあると思う。
1つ目は痛みが理解できるからである。使われた薬とその薬が示す効果を薬剤師として理解しているため、ゼンがその時に感じた痛みを記録を読みながら感じている。その痛みに耐えてきたゼンを思い、涙を流しているのだと思う。しかしこれは同情ではない。そう考える理由については別途述べる。
2つ目は後悔したからである。ゼンにとって毒薬投与は辛い記憶であり、できるだけ思い出させたくないと白雪は考えていると思う。そのため毒りんごを食べさせてしまった一件を思い出し、ゼンに毒の痛みを与えてしまったことを後悔しているのではないかと思う。
抱きしめるのではなく抱きしめられる
リュウから白雪の様子を聞き、白雪のもとに駆けつけるゼン。ひとり小部屋で涙を流しながら記録を読み返す白雪を引き寄せ、白雪を軽く抱きしめる。ここでもしも白雪が何か声をかけ、ゼンを抱きしめたのであればそれはただの同情だったと思う。王子だから耐性をつけるために毒を飲まされてかわいそうだったね頑張ったねと。
しかしそうじゃない。白雪はゼンが毒に耐性を付ける必要があることを理解し、理解した上でゼンの記録と向きあおうとしている。だからこそ拳を握りしめ、向ける視線はまっすぐとしたものであり、甘えのような態度を一切示していない。今ここでやることはゼンに声をかけることではなく、ゼンと並んで歩くために知って理解することであるとわかっているから。
そんな白雪の気持ちがわかるからこそ、それを後押しするように白雪の肩を抱きひと声かけているのだ。ひとりで明かりの灯っていないところにいる白雪を、光のさす窓辺に抱き寄せ支えてあげているのだ。
子供ながら思いやりのあるリュウ
声をかけるミツヒデや木々に対して、首を振ることで意思表示をしている。照れたり目をそらしたり、そういう動作がとても素直な子供らしい。そんなリュウを応援するミツヒデの優しさがとても嬉しい。甘えではない、優しさがこのアニメにはあふれている。
白雪の、
そのうち一緒に見に行こう。
の意味は今までとは大きく変わった気がする。宮廷薬剤師として選ばれ、これからは公的に薬草を見に行くことができる。今まで出来なかったことができるようになった大きな一歩である。
終わりのモノローグ
昨日まで知らずにいたものを今日知ることができれば、自分の内に誰かの中に一つ見つけては摘んでいく。苦さも蜜もその花の名を知るために。
まとめ
4話について感想を書きました。で、感想をながらく書いていなかった理由ですが、この4話が良すぎて書けなかったというのが正直あります。うまく言葉に出来ないけれど理解できる感情を、どうやって文章に起こせばいいかわからずに諦めていました。コメントやTwitterで感想を待っているという声を頂いたので、よし書こう!と思い書いてみました。白雪らしい回出会ったと思いますし、リュウという素直なキャラクターが出てきたことで面白さも増したと思います。
このアニメがワンパターンという声もよく耳にしますし、僕もそう思いながら見ています。ワンパターンな話でも心理描写がうまく、キャラクターに感情移入できるところがこの作品の良さだと思います。単純だけど、単純だからこそ見ていられるというか。単純だからこそ深いというか。そういう作品として自分は見ている気がします。5話以降についても書けるときに書いていこうと思います。
以上です。それではまた別の記事でお会いしましょう。
スタッフ
原作:あきづき空太
監督:安藤真裕
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:高橋久美子
音楽:大島ミチル
製作:ボンズ
4話
脚本:赤尾でこ
絵コンテ:篠原俊哉
演出:太田知章
総作画監督:藤田しげる
作画監督:杉本幸子
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