徒然もの書きぱん

適当にアニメとかについて書いてます。今期は何について書きましょうか。

アニメ『赤髪の白雪姫』は原作マンガを補完した素晴らしい作品

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はじめに

 こんにちは。

 赤髪の白雪姫のアニメが9月で終了しまして、1月から2クール目が始まるとのことです。僕はこの作品をアニメで知ったのですが、あまりの素晴らしさにマンガを全巻購入してしまいました。
 今回はマンガとアニメを比べて感じたことについて書こうと思います。

まずアニメを見て感じたこと

 このアニメは「世界観が好き」というのが最初の印象であった。すごく綺麗な背景。影からそれを支える音楽。そこがまず気に入った。
 次にキャラクター。女の子でありながらも強い意思を持つ白雪。王子としてだけでなく人として魅力あふれるゼン。この二人だけではなく、側近としてサポートするミツヒデと木々。ひとりひとりが互いを思い合う気持ちがあり、それが見ていて心地よかった。
 一見すると敵であるオビやラジ王子といったキャラクターも、話が進むごとに好きになっていく。芯の見えなかったキャラクターが少しずつ少しずつ分かるようになっていく。
 要は、白雪とゼンたちによって変わっていく正の連鎖が好きだったのだ。オビ、ハルカ侯、ラジ王子。味方になっていく彼らの気持ちがよく理解できるからだ。
 その一方で、イザナ王子の登場。このキャラクターにより、柔らかい雰囲気が主であった作品に緊張感が生まれた。キャラクターたちが進むべき指針のようなものが決まり、物語の方向性を見せることができた。

 このアニメの方向性を示しつつ、キャラクターを活かしたストーリー展開となっていた。それがこの赤髪の白雪姫というアニメを僕が好きになった理由だと思う。

次にマンガを読んで感じたこと

 このマンガのポイントはアニメとは少し異なり「白雪たち」であると思う。マンガでは白雪やゼンといったキャラクターをうまく掘り下げなければならない。

 僕はアニメを見てからマンガに入っているため、最初は動きによる緊張感の演出や音楽による高揚感などがないことに物足りなさを受けた。もちろんマンガなのだから音楽も動画もないのは当然である。不満に感じた原因は見開き2ページにおける情報量が多すぎることだと思う。見るマンガではなく、読むマンガになっていたことが世界観を味わわえなかった要因であると感じた。もちろんマンガでは世界観の主張はキャクターの掘り下げより優先度は低いことはわかっている。それでも少しさみしく感じた。
 その一方で、白雪の人物像はアニメとは違った形でとてもうまく表現されていた。アニメよりも少しだけ男勝りで、行動に勢いがある。そんなアニメとは少し違った白雪が描かれていた。2話で巳早に誘拐されるシーンではそれが顕著であった。アニメでは絨毯を引っ張って巳早から逃げるが、マンガでは箱を蹴り逃げようとしている。また、港で巳早に薬を渡すシーンもない。こちらの記事(エブリデイ! 赤髪の白雪姫(感想) その2)でもこのように書かれている。

原作では、クラリネスでの白雪の生活は描かれておらず、城の中に入ってゼンと再会しています。また馬車のシーンはカットされ、ゼンとの港での会話は宮廷薬剤師を目指すことを伝えるものとなります。巳早の身の上も特に語られず、巳早に薬を渡すシーンも存在しません。

アニメの心が綺麗すぎて感情移入しにくい白雪とは異なり、行動の理由が理解できる白雪に仕上がっていたのではないかと思う。


 と、ここまで批判的にマンガについて語ってしまった。もちろん上に書いたことは事実なのだが、あくまでも4巻までというか序盤の話である。後半に進むにつれてコマ割りが大胆になり、丁寧に描かれたクラリネスの雰囲気が伝わってきてた。特にアニメで描かれなかった5巻以降では、たいへん素晴らしい世界が広がっていた。雰囲気についての心配も最新14巻では杞憂である。

世界の見せ方と補完

 ここまで述べてきたとおり、僕がこの作品に求めているのは「世界観」と「キャラクターの掘り下げ」である。マンガとアニメではこの描き方に差があり、見え方が大きく変わっている。

世界の見せ方の違い

 マンガの冒頭では、ラジ王子の「鏡よ鏡」のセリフからスタートする。つまり、ラジ王子という人物に焦点を当て、そこからタンバルンという国があり、さらにはそこに住む白雪に焦点を当てていく。つまり、人物 → 世界 → 人物、と人物を起点として物語を展開している。そのうえ、世界(ここではクラリネス)についてはほとんど登場しない。これがマンガでは世界観があまり重視されていないと考える理由である。

 それに対してアニメでは、葉の上で光る雫、朝日差し込む森、薬草を摘む白雪、白雪の住む朝焼けの街と展開していく。
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つまり、世界 → 人物 → 世界、と世界を起点として物語を展開している。そのうえ物語の展開としては白雪たちに焦点を当て、さらに周りの雰囲気を伝えている。このような描写によって、彼女たちが住んでいた街の雰囲気だけでなく、周りに広がる世界を見せることができている。このようにアニメではキャラクターから世界を見せるのではなく、世界の中にキャラクターがいることを伝えている。

世界観の重要性

 アニメやマンガなど目で楽しむ作品(中でもファンタジー)において、「広がっている世界を知ること」は背景知識を得る上で大きな役割を担っている。森なのか、ビル街なのか、宇宙なのか。キャラクターがどこで生活しているかがわからないというのは、時代設定やシチュエーションへの違和感を残し、作品に溶け込むことを阻害する要因となる。もちろんここで言っている世界とは景色だけではない。人や乗り物や街。その全てが世界であり、キャラクターの心情を理解するきっかけとなる。例えば、アニメ2話でパン屋のおばちゃんと会話をして、白雪が帰ってきていないことを知る。マンガではそのような描写はなく、さっそうと白雪を助けに来る。アニメの描写により、王子であるゼンがこの国で街の人と友好的な関係を築いていることがわかる。

 アニメと比べてマンガは一話分の尺が短い。そのため、このような描写を入れることは難しいのではないかと思う。それに対して、今回のアニメではマンガの一話分をアニメの一話分としているため、尺に余裕がありそのような描写を入れることが可能になった。マンガでは描けなかった部分までアニメで描くことにより、マンガを読んだ際にもキャラクターの周りに広がる世界が伝わってくる。
 つまりアニメの赤髪の白雪姫は一つの作品として完結しながらも、マンガの世界観を補足することのできる作品となった。それもマンガの世界観を壊さずに補う形で。

 ここまで原作に寄り添ったアニメ『赤髪の白雪姫』は、それだけで素晴らしいと言い切ることができる作品になっている。

まとめ

 アニメと原作のマンガを交えながら感じたことを書いてみました。アニメを見なおしてみると原作を読んでいる方が楽しめるのではないかと思うぐらい、原作への愛を感じるアニメになっていました。気になった方は原作を手に取り、再度アニメを視聴してみてはいかがでしょうか?

 以上です。それではまた別の記事でお会いしましょう。

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