赤髪の白雪姫20話(2クール：8話)の感想と積み重ねてきた時間

　こんにちは。

　お久しぶりです。赤髪の白雪姫20話の感想をTwitterにアップしようと思ったのですが、長くなったのでこちらで。

感想

鹿月が考えていたこと

　鹿月が誘拐しようとした理由と、白雪と一緒に生活したいという気持ちがよく見えた。父親と一緒にさせてやりたいという優しさが誘拐の理由だったが、一緒に時間を過ごす中で人として白雪を好きになっていった。一緒に暮らして欲しいという思いをドキドキしながら伝えているのは、断られるのが怖いからだろう。それだけ白雪という人間の虜になっている。
　あと、悪いと思ったことを素直に謝ることができる鹿月は優しい少年だった。貴族の人間たちに対して良い印象が無いのは以前の会話からもわかるが、ゼンがそういう人間たちとは違うと分かれば謝ることができる。山の獅子たちが鹿月を温かく迎え入れるのもよく分かる。

意志を曲げられないオビ

　オビの決して曲げられない意志とその意志をも包み込んでしまう白雪の言葉。「しら」っと白雪の名前をいいそうになってしまい、口にしないように留めようとした行為からオビの感謝と好意を強く感じた。オビが反省する気持ちも白雪が大切だという優しさからくるものであり、白雪がそれを認めて再びオビに護衛としていてほしいとお願いをする。お互いの意志が、お互いの曲げられない優しさになっている。

白雪の不安と寂しさ

　再会した白雪がもう少し一緒にいて欲しいとゼンの服をつまむ。一瞬時計が映ることによって、時が止まってしまうことを恐れていたり、壊してしまったことを謝りたいと思っていたり。それ以上に、寂しいという感情が白雪の表情から溢れていた。それを愛しく思うゼンの表情の優しさが心にズシンっと響いてくる。父親の一言がお互いが表情に出していなかった好きを意識し始めたことで突然恥ずかしくなり、互いに顔を赤らめているのだろ
　話の最中で寝息をたてる白雪とそれを優しく包み込む劇伴が穏やかさが安息を伝え、ゼンのキスをそっと盛り立てている。

ラジ王子との関係の変化

　ラジが白雪が帰ってきたことを走って迎えに来ており、これもひとつの関係の変化になっている。舞踏会ではラジが以前に演奏した曲が使われており、二人の間に積み上がったものの一つとして表現されていた。
　また、ラジが白雪の決着という言葉に対し、「白雪殿の勝ちではないのか？」と返す。白雪がさらわれてしまったのは自分のせいであり、それをきっかけとして前よりも悪い関係になってしまったという恐怖からだろう。だから踊っている最中のラジ王子の汗は、不安からくるものだと思う。それでも、白雪との関係を断ちたくない。勇気を出して自分がきっかけとなって切られた髪が再び伸びた時に会いたいと伝えたのだと思う。白雪にとっては今回の一件でラジ王子に救われており、関係が大きく変化していると考えている。だからラジが宣言した「友人」という言葉で喜んで返してくれたのだと思う。(ゼンが嫉妬する気持ちもわかるが、ここはラジ王子に譲ってあげてください…。)
　白雪を見送る際に、クラリネスではサカキに下げさせて頭を自分から下げる。こちらを見ていない相手に下げる頭は感謝以外の何物でもない。白雪によって大きく変わったラジの心からの感謝なのだと思う。

白雪のモノローグ

　「出会いがひとつ、形を変える。知らずにいた熱の在り処を。溢れてくる想いを手に帯びて、また次のページをめくる。」

出会いがひとつ、形を変える。

　ラジとの出会ってしまったことによってタンバルンという街から出ていき、再びこの街に帰ってきた。そのため、入国前は「タンバルンに帰ってこれたことだけは嬉しい」という感情だったが、またこのタイミングでは「また帰ってこられる。より一層好きになったこの国に」という心情の変化が起こっている。白雪とラジの悪い出会いが、良き出会いへと形を変えた。