アニメ『ガーリッシュナンバー』11話感想――ずっと、烏丸千歳から目が離せなかった
こんにちは。
今回は長文の感想というより、この作品との折り合いがつけられたという気付きみたいな短い文章です。
この作品が好きだったのか?
僕は、この『ガーリッシュナンバー』という作品が好きなのか嫌いなのか、自分でもずっと分からずに見続けていた。千歳が少し成長してまともな演技ができるようになったり、百花や万葉や打ち解けていく様子は見ていて心地良かった。けれど、九頭のあまりもクズな振る舞いには腹がたったし、千歳の場当たり的な振る舞いはどうも好きになれなかった。この作品には、好きな部分と嫌いな部分が入り混じりすぎていた。
それだけ好きと嫌いが入り混じっていたのに、僕はこの作品を苛立ちながらもずっと見続けていた。その感覚はこれまでの自分にはあまりなく、自分でも不思議でしょうがなかった。そしてその答えは、烏丸千歳にあったのだと思った。
烏丸千歳
烏丸千歳は人として未熟すぎる。そしてかわいいだけの女の子が、厳しい声優界で生きていけると思えなかった。その考えに沿うように、千歳は少しずつ仕事からもファンからも見放されていった。おそらく全ての視聴者がこうなることに気づいていたし、それぐらい確定的な結果だったように思う。しかし、そんな烏丸千歳のクズな行動に共感している自分がどこかにいた。
努力もせずに人から好かれ、それでいて一番でいたいと思う。すごく抽象的で漠然とした願いだが、心の片隅にそんな願いが自分にもあったのだと思った。そしてそれを追いかけ続けたのが、烏丸千歳なのだと思った。本当の自分を好きになってもらいたい。その願いだけで仕事をしてきたのだと思う。
烏丸千歳から目が離せなかった
人間的に未熟な彼女は、業界からもファンからも見放されながらも、仕事仲間からは見放されず関心の中心にいた。彼女が意図せずに築き上げてきた関係が、悟浄を動かし彼女を不安という沼から開放したのだと思う。
そしてそのシーンを見て、自分がなぜこのアニメを見続けてきたのかに気づくことができた。僕は、烏丸千歳がただただ心配だったのだ。作中のキャラクターが心配していたように、千歳が仕事を続けていけるのか不安だった。なるべくしてなった結果を受けて、彼女が立ち上がることができるのかだけが不安だった。そして、11話で彼女が立ち上がるその姿を見て安堵した。
そして同時に、自分が烏丸千歳のファンになっていることに気がついた。彼女の傍若無人な振る舞いが好きだったのだと気づかされた。あの姿を再び見たいと思ってしまった。おそらく、再びあの姿を見た時にもうざいとは思うのだろう。でもそれ以上に、おかえりという気持ちが強いのだと思う。
いつもどおりの姿を見たい。それが、この作品に求める唯一の願いかもしれない。
ガーリッシュ ナンバー:烏丸千歳(cv.千本木彩花)、久我山八重(cv.本渡 楓)、片倉 京(cv.石川由依)、苑生百花(cv.鈴木絵理)、柴崎万葉(cv.大西沙織)/Bloom
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