アーティスト早見沙織――早見沙織 1st Concert “Live Love Laugh”LIVE 品川公演 感想レポート
こんにちは。
先日、早見沙織さんの1st Concert “Live Love Laugh”LIVEの品川公演に行ってきました。歌が上手いというのは以前から分かっていたことですし、トークに安心感があるのも分かっていたことです。しかし、これまで見てきた「声優」としての早見沙織ではなく、「アーティスト」としての早見沙織を強く感じました。ライブ全体を振り返りながらその点について述べていきたいと思います。
ライブの構成と衣装
本ライブはアルバムに入っている曲順に加え、新曲を交えて進行していった。大まかな構成はアルバムと同様ではあるが、一部の曲順が変更されており次の曲を期待させる構成であった。
どの程度アルバムと構成が似ているかをわかりやすくするために、以下に演奏された曲順とアルバムの曲番をまとめた。『僕らのアンサー』と『Installation(アコースティック)』を新曲という区分にするのは誤りではあるが、表記統一のため新曲とする。
曲順 | 曲名 | アルバムの曲番 |
---|---|---|
1 | NOTE | 1 |
2 | やさしい希望 | 2 |
3 | 水槽 | 4 |
-- MC -- | ||
4 | ふりだし | 新曲 |
5 | その声が地図になる | 3 |
6 | 雨の水平線 | 新曲 |
7 | あるゆらぐひ | 6 |
-- インスト -- | ||
8 | レンダン | 5 |
-- MC -- | ||
9 | Secret | 新曲 |
10 | ESCORT | 8 |
11 | eve | 新曲 |
-- MC -- | ||
12 | 僕らのアンサー | 新曲 |
13 | where we are | 新曲 |
14 | Installation | 9 |
-- MC -- | ||
15 | LET'S TRY AGAIN | 7 |
16 | ブルーアワーに祈りを | 10 |
== EC == | ||
17 | 星になって | 新曲 |
18 | Installation(Acoustic) | 新曲 |
19 | To years letter | 11 |
そしてこのライブの衣装は4つに分類され、特徴的な色を上げると4色になる。
それぞれのカラーにあった楽曲が丁寧に歌い上げられており、どの曲をとってもCDのクオリティを上回るものであった。中でも最も成長を感じたのは『やさしい希望』であった。CD音源自体が初期に撮られたものであることもあり、声の伸びや力強さはCD音源とは比較にならないほど素晴らしいものであった。
(以前『やさしい希望』について書いた記事ですので、よかったらどうぞ)
www.palepalette-blog.com
また衣装と楽曲の組み合わせで、特に注目したいのが『あるゆらぐひ』の白い衣装。そして『レンダン』の赤い衣装である。
まず『あるゆらぐひ』についてである。この曲はうまくいかない現状に対し、諦めず前を向いて進んでいこうというメッセージを込めた一曲となっている。広く解釈するならば、何色にもなれないことにもがき苦しむ葛藤である。そして今回のライブでは、「何色にもなれない=白」として利用していたように見えた。そう考えた根拠は、衣装の白と照明の相性である。白の衣装は照明の色を映し出し何色にもなることができる。それが何かの色になろうとする歌詞とマッチしていたように感じたからである。
そしてインストを挟み、『レンダン』が演奏される。この曲は先程までとは一転して愛を力強く願う歌である。その愛を願う力強さそのものが、赤色であったように思う。その力強さが、『Secret』『ESCORT』『eve』にも移っていき、妖艶な大人っぽさを映し出したのではないかと思う。
青の衣装では、声の爽やかさを活かしたアップテンポな曲からしっとりとした曲まで多彩に披露していた。昨年のコンベンションライブで披露され、未だにCD音源化されていない『僕らのアンサー』はファンの体を温める一曲であったし、『ブルーアワーに祈りを』はファンの心を温める一曲であった。
アンコール後の黒のライブTシャツ姿は、色の特徴は感じなかった。しかし、スタッフと同じ衣装に身を包む彼女とバンドメンバーから、このライブが多くのスタッフと共に作られていることを前面に表していた。そしてその重圧を背負い、一人でピアノボーカルとしてステージに立った『星になって』は圧巻の一言であった。未完成の楽曲だから、もちろん改善の余地はあると感じた。でもだからこそ、あの一瞬でまた一歩完成に近づいたと思う。
また会場の注目を一点に集め緊張する素振りを見せながらも、立派に演奏する彼女の姿からは強さを感じた。そしてその姿を見つめ、手を握りしめ無心で応援していた。魅力溢れる彼女の歌声に、姿勢に、再び虜になっていった。
声優である以上にパフォーマー、
今回のライブの彼女は、声優というよりも最高の会場を作るパフォーマーであった。そのように感じた理由は、「MCによる空気」と「曲の完成度」であった。
このライブで彼女が披露した楽曲は、静かに強く歌い上げる曲が多く、会場の空気は緊張したものになっていた。もちろん曲によっては緊張を解き、のびのびとした空気をつくる必要がある。それを間に入るMCが行なっていた。その場の空気をガラッと変え、次に始まる曲に合わせた空気を再構成する。それにより観客が曲に合わせた準備をすることができたように思う。
そして、その雰囲気から披露された曲の完成度の高さである。言うまでもなく歌のクオリティは高いものであった。だがそれ以上に、観客とともに曲を作り上げていたことが大きかったように思う。手拍子、腕振り、コール。全ての動きを彼女が先導し、その動きに合わせる観客。その一体感で、再び曲を完成させたのである。彼女がライブ中に述べていた、「これまで、いま、これから」のタイミングで曲は完成していく。「いま」の完成度の高さが、このライブの成功につながったのである。
そしてアーティストである。
改めてこれらの楽曲を見返すと、彼女が作詞や作曲に携わった曲の数に驚愕する。
作詞 | やさしい希望、その声が地図になる、レンダン、あるゆらぐひ、Installation、ブルーアワーに祈りを、To years letter、 ふりだし、 雨の水平線 |
---|---|
作曲 | その声が地図になる、あるゆらぐひ、Installation、雨の水平線 |
今回演奏された18(+1)曲のうち、作詞で9曲、作曲で4曲に関わっている。つまり半分の曲にクリエイターという立場で関わっているのである。自分のライブを、自分の作った曲で飾り、自分の歌で彩っている。
そして改めてこのデビュー時の記事を思い出した。
natalie.mu
彼女は声優名義で「歌手」デビューしたのではなく、「アーティスト」デビューをしたということ。
クリエイターとして活動していることも理解していたつもりだが、今回のライブで改めてアーティストデビューの意味を理解させてもらった。
作詞家として、作曲家として、歌手として、その全てで活躍してほしい。
僕はそう感じているし、このライブに参加した全ての人がそう感じていると確信させるライブであった。
みんなが<アーティスト早見沙織>を応援している。これからも多くの人を魅了し、感動させ、楽しませてほしい。
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