赤髪の白雪姫3話の感想とプロローグとエピローグの語り
はじめに
こんにちは。
3話もとても良かったですね。何回見たかわからないぐらい見たような気がします。白雪とゼンもいいけど、冒頭のおじいさんと衛兵の感じがもう好き。っと感想を書き始めてしまいそうなので、ささっと感想に移ります。
感想
良好な関係
この街の城に入るときに身分証を確認されるようだ。おじいさんが提示した身分証を確認した後ににこやかにしている。以前の城の兵は市民に対して乱暴な態度をとっていたが、こちらの兵は市民と良好な関係を築いているようだ。
一般人の憧れと王族の妬み
白雪は身分証を持たないにもかかわらず、ゼンと友達だからこそ城に入る権利を有している。良く言えば身分を超えた特別な関係である。そのような関係を持つ白雪を衛兵はかっこいいといったのだろう。
その一方で、ハルカ侯爵のように身分を超えた付き合いをする白雪を妬ましく思うものもいる。白雪は一般市民であり、本来であれば城に入ることすら許されない立場。それにもかかわらず城に特別に入ることができる。特別が許されるのは重要な地位を持つものだけである。白雪よりも特別な地位を持つ自分が、蔑ろにされていることに腹を立てているのではないだろうか。もちろん白雪が地位を狙う悪党である場合もあることも部下としては考慮しなければならない。
身分を示すものを持たず、殿下の友人と称す赤髪の娘。卑しい色だ。
王子の身を案じる気持ちと妬みが混ざり合ったからこその、この言葉なのだろう。このような縁を運んでくる赤だからこそ卑しいのだろう。
ゼンの白雪への気持ちと周りの反応
執務室にこもり切り仕事をするゼンと休ませようとするミツヒデと木々。純粋にゼンが心配だからこそ、弱みを見せられる白雪を呼んだのだろう。白雪とゼンは出会って間もないが、それだけの信頼を築いたということだろう。
ゼ:白雪?幻聴?
白:いや、まだ何も喋ってないけど本物だよ。
このセリフがなぜかとても白雪らしいと感じた。何故なんだろう。
それにしてもゼンを休ませようと白雪を利用する木々とミツヒデが面白い。
ミ:寝てる暇があるなら白雪と会う。そういっていただろう。
ゼ:な!?それはお前らが寝ろ寝ろやかましいから…!
木:書類の署名に白雪って書いたりしだす前に少し一緒にいたら?
ゼ:どんな症状だ…。
ミ:すべての受け答えが白雪になる前に、少し一緒に…。
ゼ:ミツヒデ。後で話し合いな。
木々とミツヒデがいろいろいうことに対し、顔を赤くしながら応えるゼンがとても初々しい。白雪はあまり気にしていない様子である。このやりとりをどう思ってみているのだろうか。
このやりとりの後の白雪のセリフ。
えっと、今日は帰ったほうがいいかな?お邪魔しまし…
これに対するゼンの反応が早過ぎる。それだけ白雪と一緒に居たかったのだろう。
この後の、
ゼ:卑怯だぞお前ら…。
ミ木:承知してます!
の流れがとても好き。お互いの思いやりをすごく感じる。
ゼンと白雪の包み隠さないやりとり
ゼンが城の外に興味を持っているのは、城の外こそがクラリネスであることを知っているからだ。城の中にいては何もわからない。だからこそ外に出たがるのだ。
それに対して白雪は「ゼンのいる国ってやっぱりいいね。」と発言している。ゼンのように街を見ようとする王子は市民としてはとても嬉しい事だ。
ゼンが白雪の前で寝るということは、ゼンは心から白雪を信頼しているということだろう。そんな疲れきって寝てしまったゼンを見て、白雪も自分も頑張ろうと気合が入っている。互いが励まし合うこの関係がとても心地よい。
白雪を否定するハルカ侯爵と肯定するゼン
ハルカ侯爵がゼンに白雪と会うのをやめるように伝える。
強いものにはすぐに屈し、自分の力ではひとつも前に進めぬ。そのような娘をそばに置くなど、殿下が臣下たちに非難されれるだけで何の得もない。
このセリフはその理由を示している。ハルカ侯爵が言っている強さとは権力であり、腕力であり、自分よりも格上の相手ということであろう。
ゼンは白雪がラジ王子という権力にも、巳早という腕力にも屈しないことを知っている。だからこそ、ハルカ侯爵の言葉を強く否定できたのである。
衛兵はそれほど白雪とゼンの関係を知らない
オビが持っていった偽の令状を納得がいかないながらも本物だと信じている。ミツヒデや木々とは異なり、ふたりの関係性をそこまで詳しくは知らないからであろう。彼らであればすぐに変だと気づき、ゼンを問いただすところだろう。もしくは、王子から出された令状は衛兵たちにとって絶対であり、事実かそうでないかは関係ないのかもしれない。
もうひとつ気になったのが、白雪を先ほど城内に通したと教えてしまったところである。衛兵たちと白雪の人間関係はできており、白雪を心配するなら黙っているのではないかと思った。もしくは、白雪が勝手に城内に侵入したと思われないように事前に伝えようと考えたのかもしれない。衛兵たちと白雪の関係は良好であり、後者であると考えるのが正しいであろう。
前を向き歩みを止めない白雪
私がゼンに会えるのは本当にゼンの力があってのことなんだ。
だから自分の力で同じ場所にいられる場所を目指していて。
そうしたら私は…。
ゼンと私が同じ場所にいることを許すまいとする人がこの城にいる。
でも、ここにはゼンが、いる。
ハルカ侯爵の言うようにゼンと白雪は身分が違う。だからゼンに会うにはゼンの力がいる。当たり前のように城門にいけば城へ通してもらえる。それはゼンに甘えているだけだったのかもしれない。ゼンのそばでゼンの行く末を見るには、ゼンと同じ高さまで辿り着かないといけない。それにあらためて気付き、今後の自分の道に対して固い決心をしている。決心を固めたからこそ、オビの放った矢に怯むことなく進み続けることができたのだと思う。
心配をかけまいとする白雪と心配で仕方のないゼン
ゼンに声をかけられた時、すぐに白雪は矢を隠した。これはゼンに心配をかけたくなかったのと同時に頼りたくなかったのだと思う。ゼンがいると思われる執務室へと遠回りするような道をとり、自分を狙う相手をおびき出そうとしていたのは、ゼンに知られずにこの出来事を終わらせたかったからだと思う。ゼンに知られれば心配をかけてしまうし、それ以上にゼンにこの事を解決してもらってはゼンに頼るだけの関係になってしまう。白雪が立ちたかった同じ場所に立てないことを自分で証明することになる。それを避けたいという気持ちももちろんあっただろう。
対してゼンは白雪が隠した矢を見つけ、何があったのかを問いただそうとしている。白雪の命を心配してのことだろう。ゼンにとって白雪の存在はとても大きいんだなーと再認識させられた。
白雪の恐怖と苛立ち
恐怖とは矢で射られたことだろう。自分の命が狙われていると知れば、怖いのは当然だと思う。それに相まって、ゼンともう会えないかもしれないという恐怖もあったと思う。白雪がこの国に来た理由であるゼンを失ってしまうのだから。
苛立ちとは自分が知らないところでゼンに会わせないようにすることが画策されていたからだろう。好き勝手にやられるのは気分のいいことではない。また白雪に限っては、王族や市民といった階級による妬みで怒っているわけではないと思う。あくまでも、自分のことを自分の知らないところで勝手に決められたことに対する怒りだと思う。
また矢をゼンから奪ったのは、自分も攻めて出るということを象徴しているのだと思った。ゼンを巻き込み解決するのではなく、あくまでも自分の力で解決するという攻めの姿勢である。
ゼンの心情
絶対に無理はするな。
相手が引かないようなら俺の名前を出してでも止めさせろ。
一人の仕業とは限らん。
白雪の気持ちを立てながらも、発言の通り白雪を心配している。
俺も見つけ出して監視しておく。
確信はないから口には出せん。
悪い。俺はどうも敵を作りやすいらしい。
また、ゼンはこの事件の黒幕がハルカ侯爵であることに薄々気づいている。ハルカ侯爵が強硬策をとったのは自分が挑発したからであり、その態度がこのような結果を招いてしまったことを反省している。自分の生き方によって周囲に迷惑がかかってしまったことをとても気にしている。
しかし、自分の行動に責任を感じる王子だからこそ、白雪はいっしょにいたいと考えているのだと思った。失態を犯してしまった弱さとともに、それに向き合うことのできる強さが彼の魅力である。
白雪とハルカ侯爵の対峙
白雪の心情
あなたの言うように私がここにいてはいけないのなら、その剣で切り払って止めればいい。
白雪は偽りの令状を出した相手がハルカ侯爵だと気づいたとして、相手が自分を切らない保証はなかったように思う。相手に弱みがあることを見越していたとしても普通は取れる行動ではなかったように思う。また、ここでゼンの名前を出して相手を引かせれば、ゼンと対等でいることはできない。そう自分に言い聞かせ、自分を奮い立たせたのだと思う。
ハルカ侯爵の心情
ハルカ侯爵はゼンに言われた言葉が頭に響いていた。
自分の力では前にも進めぬ、か。
自分はそのような人がいるとは信じていなかった。だからこそゼンにあれほど強気だったのだと思う。しかし、目の前の赤髪の娘は自分が剣を抜いているにもかかわらず、果敢に前へと進もうとしている。ゼンが言っていた事が正しく、自分の見識を改めざる終えないと感じていたのだと思う。剣を持つ手が震えていたことがそれを表していたように思う。
また、自分の力とは一体なんだろうかと考えていたのではないだろうか。ハルカ侯爵は伯爵の地位が自分の力だと考えている。だからこそ、権力を持たないものを弱いものとみなしている。しかし、いま眼の前にいる娘は権力も何も持っていないにもかかわらず立ち向かってくる。そのような娘を「自分の力では前に進めない」とは言えない。力とは権力だけでは無いと考えを改めていたのだと思う。
緊張感をくまなく伝える演出
自分の命がかかった緊張の場面で、壮大な音楽、緊張感を助長させる剣の金属音、近づいてくる足元を映しながらの強さを象徴する白雪の足音、終わりを告げる風の音と風が止む瞬間。そのどれもがマッチしたとてもいい場面だった。
オビとハルカ侯爵の互いに譲らないやりとり
オビは矢を放ったのも令状を作ったのも自分だという。それに対してハルカ侯爵は自分が全てやったと白状している。たぶん作戦を立案実行したのはオビだが、それを命じたのはハルカ侯爵なのだろう。
ハルカ侯爵は身元もよくわからないオビを雇ったという汚点を認めないために責任をかぶったプライドが高く人なのであろう。しかしそれだけではなく、自分のとった行動の尻拭いを自分でしようとする侯爵としての責任を果たそうとしているのだとも思った。
ハルカ侯爵にとって爵位とは
ハルカ侯爵がどのような経緯で爵位を得るに至ったかは分からないが、ゼンの問に神妙な面持ちで応える彼にとって、爵位と自分は切り離せないほど重要なのであろう。爵位がなければ前に進むことができない自分と、何も持たなくても前に進むことができる白雪を比較しているのかもしれない。
飄々としたオビというキャラクター
意外というか面白いキャラクターが出てきたなと思った。割とノリが良く硬さのあるキャラクターしか出てこないとおもいきや、意外なノリが軽く頭が切れそうなキャラクターがだった。
意味深な発言
ゼンへのこの発言が気になった。
何よりあんたのためになりそうだ。
ゼンの過去を知り、ゼンが成長するきっかけになることを見越しているのだろうか。ゼンの弱い部分を白雪が補っていけるそのような関係を示唆しているのだろうか。
軽い身のこなし
エントランスから落ちても悠々と着地している。1話のミツヒデのスライディングと同等以上の身のこなしである。
ついでに発言まで軽い。結構好き。
ゼンが思う弱さと白雪が感じた強さ
ゼンは自分が敵を作りやすいと思っている。しかし白雪はミツヒデや木々、オビ、ハルカ侯爵を見てそうではないと感じているのだと思う。そんなゼンのそばにいたいと強く感じたからこそ、このタイミングで言いそびれていた宮廷薬剤師について話したのだと思う。
白:いつか私、自分で門をくぐれるようになってゼンの味方になりに来る。
ゼ:心強いな。俺も待つ、この城で。
白雪はゼンの周りは敵ばかりではないと感じている。ゼンの味方になるとは敵から守るという意味ではなく、ゼンと一緒に進んでいく仲間になりたいということではないかと思う。
そんな白雪だからこそ、ゼンは白雪を迎えに行くのではなく待っているのだ。
共にいる時間を守りたい人がいる。力になりたいと願う。それは自分の背を押して、前へと進むしるべになる。
白雪が頑張る目標。その目標が自分にとって大切だからこそ、白雪は宮廷薬剤師を全力で目指そうと思えるのだろう。
白雪のモノローグとエピローグ
この作品は白雪の一人語りが入ることが多い。今回の3話では、
この街、この国に降り注ぐ光が照らしてくれる。これから選び行く先を、私の中の新たな想いを。
という言葉から始まる。物語の導入で、ぐっとこの作品に引き込まれる。この作品が素晴らしいと感じるのは、視聴者を引き込む雰囲気作りがとても上手いからなのかもしれない。それだけで無いのは間違いないが、この開始1分がとても重要であると感じた。
同様に白雪の一人語りで終りを迎える。
それは自分の背を押して、前へと進むしるべになる。
光と風の演出に加え、風のSEをふんだんに使っている。「しるべになる」という言葉と合わせるようにクラリネスの国旗を映している。白雪がこれから目指す場所は、このクラリネスの城であることをわかりやすく明示している。このような演出が作品の余韻を残しており、次回への期待に変わっているのだと思う。
作品の内容はもちろんだが、作品に引きこむような雰囲気づくりが徹底していると感じた。OP前でおおっ!と思わされ、ED前でおおおっ!!と思わさるこの作品がとても好きだ。これからも作品の世界を楽しんでいきたい。
まとめ
1話と2話と同様に、3話がとても良かったです…。白雪だけではなく、この作中に出てくる全てが好きになってきました。自分の中で語り継いでいきたいアニメにです。どこが好きとかうまく言えないんですが、とにかく好きだなーと思わされました。これからの展開に期待しつつ、今回はこのあたりにしたいと思います。
以上です。それではまた別の記事でお会いしましょう。
スタッフ
原作:あきづき空太
監督:安藤真裕
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:高橋久美子
音楽:大島ミチル
製作:ボンズ
3話
脚本:和場明子
絵コンテ:三篠なみみ
演出:塚田拓郎
作画監督:佐々木美和
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