『ARIA』は日常の大切さを教えてくれた
はじめに
こんにちは。
ARIAの新作映画『ARIA The AVVENIRE』を前にARIAへの想いでも語ろうかなと思います。前半が紹介で、後半が感じたことになります。
ARIAの舞台は、「広く、自由で、夢の詰まった街」
ARIAの舞台はイタリアのヴェネツィアをモチーフとしたネオ・ヴェネツィア。そこは2300年の地球と比較すると技術的に退化した街。ゆったりとした街の雰囲気につつまれている。綺麗な水、情緒ある町並み。その一方で空を飛ぶバイク。前時代的な雰囲気に近未来的な空間が広がっている。それでいて神秘的かつ幻想的。不思議な事がいくらでも起こりそうな雰囲気がある。それらが一体になっているからこそ、このネオ・ヴェネツィアという街が魅力に映るのである。
また神秘的かつ幻想的な空気を作り出しているのはケット・シーと猫たちによるものでもある。人間より大きな体を持つ猫であるケット・シーが、このネオ・ヴェネツィアを不思議で魅力的な空間にしている。不思議な事が起こりそうな。実は起こっている。そんな期待をさせてくれる。その一端を少しでも見たいと思い、読者は意識をネオ・ヴェネツィアに下ろす。そうすることでひとりの住人としてこの街を楽しんでいる。
この街は広い
ほとんどのストーリーの舞台がこの街であるにもかかわらず、この街がとても広く感じる。ウンディーネとして複雑な水路を行き来するだけでなく、陸も空も地下も。様々な場所で物語が展開される。
テラフォーミングによって人が住めるようになった火星で、人が住めるようになったごく一部の地域。それを忘れさせるかのような広さがあるからこそ、次はどんな展開で心を満たしてくれるのだろうかと期待してしまう。
この街は自由
この星の技術レベルは現代と比較して退化している。急かされることなくゆっくりと時が動いている。仕事も生活も、全てがゆったりとしている。
そんな街だから、与えられた時間を自由気ままに過ごしている。街全体がそうだから、この街に住む人は自由な空間を生み出しているのだろう。
この街は夢
主人公の灯里の恥ずかしいセリフ。人や景色との出会いを恥ずかしげもなく言葉にする。地球出身の灯里にしか見つけられない、幸せの青い鳥。そんな彼女のセリフにジーンと来たり、グッと来たり。
いつも自分のまわりに何気なくあるものの素晴らしさを、灯里を通して教えてもらっている。灯里が見る街を通して、自分のまわりを見ている。そんな普段は視界に入っていない夢を見つめなおさせてくれる。
ARIAのキャラクターは、「心と愛が詰まっている」
ARIAのキャラクター数はそれほど少なくない。10人以上のキャラクターたちがこの物語を構成している。それぞれのキャラクターにしっかりと軸が有り、どのキャラクターも物語に欠かせない存在となっている。アリア社長やヒメ社長、マー社長といった猫までもがこの物語では重要な存在である。それだけこのキャラクターたちには心があり、制作者たちからの愛が詰まっている。誰ひとりとして薄くなることなく、みんなが濃いキャラクターとして存在感を放っている。
ARIAの素晴らしさ
紹介程度にマンガとアニメの両方で良さを挙げたいと思う。マンガ原作であり、3回にも及びアニメ化されている。
マンガ編
マンガ版の良さは「無言による間」と「大胆なコマ割り」だと思う。
ARIAはその場の雰囲気と情景を大切にしている。セリフの多いページ、セリフの少ないページ。効果音だけでページを構成することもある。セリフの少ないコマでは全体をじっくり見て、その雰囲気に溶け込んでしまうかのような感覚になる。
そこからの情景を魅せつけるような大胆なコマ割り。景色を全面に押し出す場合もあれば、キャラクターに目を向けさせる場合もある。見せ場でしっかりと印象を植え付けている。もう最終巻のところ最高すぎて何度読んでも泣く…。
アニメ編
アニメ版の良さは「一体感」に尽きる。
アニメーション、音楽、演技。全ての一体感が高く、マンガで受けた感動を別の形で昇華させている。あまりにもマンガを丁寧に再現しているため、心が満たされて眠くなってしまう。アニメ版ARIAを見ている人なら理解してもらえると思う。
また牧野由依さんの楽曲が全シリーズともに素晴らしく、作品の世界観を反映させたものとなっている。加えてアテナさんの歌を担当した河井英里さんの歌も素晴らしい。アテナさんの歌姫という設定そのものと言っていい歌声であった。
制作陣のARIAへの気持ちが伝わってくる素晴らしい出来になっていた。マンガとアニメの両方が素晴らしい作品の1つであると思う。
ARIAを通して感じたこと
僕がARIAという作品を通して感じたことは、日々はただ進んでいるのではなく積み重なっているということ。意識せずに過ごしている日々も未来への積み重ねで、それに気づくことができるのはあとから見下ろす時だけ。灯里たちの成長も積み重ねの結果であり、毎日練習していた成果であるということ。
それと同時に積み重なる毎日であるからといって、過去を意識しすぎてはいけないということ。作中の言葉を借りよう。
あの頃の楽しさに囚われて、今の楽しさが見えなくなっちゃもったいないもんね。
あの頃は楽しかったじゃなくて、あの頃も楽しかった…よね。
きっと本当に楽しいことって、比べるものじゃないよね。
今―楽しいと思えることは、今が一番楽しめるのよ。
だから、いずれは変わっていく今を、この素敵な時間を、大切に、ね。
――Navigation26 オレンジな日々 より
過去はあくまでも過去であり、今を大切に生きることが何よりも大事。そんなことを教えてくれている気がする。
ARIAは僕にとって「静の教科書」になっている気がする。止まっている時間の大切な過ごし方。心のあり方。自分が急いでいる時こそ、一旦止まって周りを見る。自分の置かれている状況を整理して楽しむ。そんな生き方の教科書になっている気がする。
まとめ
僕がARIAという作品に感じたことを文章にしてみました。途中で何が書きたいかわからなくなってしまいましたが、ARIAという作品がどういう作品なのかを知ってもらいたかったんだと思います。この特別な思いのこもった作品を、映画化をきかっけに少しでも広まって欲しかったんだと思います。
9月26日にARIA The AVVENIREが公開になります。アニメを見た人はぜひ劇場へ、見ていない人はマンガを読んでから劇場へ。きっと後悔することのない作品になると思います。まだ見ていないので強くは推せませんが…。とにかく、この作品に触れたことがない人はぜひ手にとってみてください。きっと、素晴らしい世界へつながっています。
この道の続きに待っている、みんなの素敵な未来に出会いたいから。
――Navigation59 未来 より
以上です。それではまた別の記事でお会いしましょう。
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