徒然もの書きぱん

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映画『プラダを着た悪魔』感想―――人は簡単に目的を見失う

 こんにちは。

 映画『プラダを着た悪魔』を見ました。出張の飛行機の中で見た『マイ・インターン』に出演していたアン・ハサウェイが好きになり、名前をよく聞いていた本作を見ました。かなり刺激を受ける内容でしたので感想を残したいと思います。

感想

 本作は服を通して、人間が変化していく中での葛藤と生涯を描いている。最初はファッション誌を飾る派手な服をバカにしていたが、服を着て知っていくことで生活そのものが変化していった。その結果、これまで自分が所属していたコミュニティとの乖離が起こり始め、同棲していた恋人とも別れてしまう。
 本作で面白いと感じたのは、ファッション、コミュニティ、仕事の3つである。

ファッション

 主人公は最初、服のことをどれも一緒だとバカにしている。しかし服を着るうちにその違いを理解し、ファッションが彼女の中心になっていく。
 ファッションは人間のアイデンティティを象徴するものであり、初対面の相手を判断する最初の基準となる。そのことを肌では理解しながらも重要だと考えていなかった主人公は、外見を変えることで仕事の質も変化していった。本作のタイトル『プラダを着た悪魔』の悪魔と称されるのは、ミランダではなくプラダというブランドが人間を悪魔にしてしまった部分である。着る服によって外見から与える印象は変わり、その人に対する印象も変化する。人の印象を変えてしまうファッションこそが悪魔なのである。
 もちろんファッションは人を悪魔にも天使にもする。一般的な服を着ればその人は普通に人になるし、きちっとした服を着れば真面目な人になる。アンドレアが最後に地味な服に戻ったのは、そういう性格になりそういう仕事につくためであった。ファッションには様々な種類があり、金額も様々である。なりたいものに形から入ることで、その瞬間からなりたいものになれるのかもしれない。そしてもしなりたくないものになっているなら、その時着ている服を脱ぎ捨てればいい。

コミュニティ

 主人公はファッション誌で働くことになると一気に多忙になったことに加え、ファッション性が変わったことで外部に与える印象も変わった。人は自分が快適だと思うコミュニティに所属するし、快適だと感じる理由は自分の行動に近いからである。つまり自分が少しでも変化すると、そのコミュニティにいることは難しくなる。相手から見える印象も自分が見る相手の印象も変わるからである。それが顕著に現れており、どんどん自分の精神を苦しめていく。自分が変わっていくとき(変わろうとするとき)に、コミュニティを抜ける覚悟を早めにするべきなのかもしれない。それが遅ければ遅いほど、相手とのギャップに苦しむことになる。

仕事

 本作で一番気に入っているのは、自分の意志で勝手に退職したアンドレアがミランダから仕事の推薦を受けるところである。基本的に仕事の関係は、自分から離れた瞬間に関係がないものになる。だからミランダがアンドレアを推薦する必要もない。しかしミランダはアンドレアを推薦した。これは彼女たちが結果を重視した関係性にあったからであり、そして人間性の部分で信頼しあっていたからである。
 アンドレアはミランダのプライベートを垣間見てしまったことで、自分と近い人間であることを感じていた。そしてミランダもアンドレアが自分と同じように悩んでいることを知っていた。だから車の中でミランダはアンドレアに「アンドレアは自分に似ている」と伝えたのだ。結果の中に信頼があったから、ミランダはアンドレアを推薦してくれたのだろう。

人は簡単に目的を見失う

 そして本作は、いつの間にか自分の目的を見失っていく人間について言及していたように思う。アンドレアが最初に目指した姿は、文芸誌で働きながら今の彼氏と一緒にいることである。彼女はファッションについて興味などなかったにもかかわらず、ファッションの仕事に没頭しプライベートがぐちゃぐちになっていった。それは本来の目的からは外れた行為であるにもかかわらず、ミランダから似ていると言われるまでその時の自分を捨てることが出来なかった。自分がなりたい姿がミランダではないとわかるその瞬間まで、彼女は最初に考えていたなりたいものを見失っていたのである。
 これは現代の私達の生活でも起こっている。最初にやりたいと思っていたことが出来なくても、耐える時期だと思って耐え続ける。しかし耐えた先に自分が求めていたものがあるかはわかっていない。耐えることはもちろん大切だが、耐え続けた先のビジョンを持ち続けなければならない。耐えた結果が、自分にとって辛い結末にならないかを考え続ける必要がある。やりたいことのために耐える大切さを教えてくれていたように思う。

まとめ

 本作は生き方について考えさせてくれる一作でした。自分が後悔しないように、常に考え続けて生きていきます。



視聴方法:Amazonビデオレンタル
Wikipedia: プラダを着た悪魔 - Wikipedia
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